技術教育・ものづくり教育について

中学校の技術科、工業高校、また小学校でのものづくり活動を対象とした教材を開発し、実践、評価をしています。



ブリッジコンテストを題材とした構造強度に関する教材開発

中学校や大学などで、構造と強度を学習する題材としてブリッジコンテストが取り上げられます。
ブリッジコンテストとは、実際に橋を設計・製作し、強度を評価するを通じて、構造と強度の関係について学習するという内容です。
ところが、応力分布や強度など設計段階で把握することは、特に力学的・工学的教育を受けていない中学生には非常に困難です。

そこで本研究室では、ブリッジコンテストを題材とした授業において、構造設計学習を支援するためのソフトウェア「Virtual Bridge Contest」を開発しました。 このソフトウェアを使用することで、ブリッジの変形状態や応力分布、強度を、定量的・視覚的に理解できます。

中学校技術科の授業で実際に使用したところ、強度の学習に効果的であったばかりでなく、現代のものづくりにおいてコンピュータ(シミュレーション技術)の果たしている役割を体験的に学習できること、さらにシミュレーションと実際の強度の違いから、材料選択や製作技能の大切さを学習できるという効果を確認しました。


ソフトウェアのご使用に興味のある方はご連絡ください。



スピーカー製作を通じて学ぶ音響解析と加工技術

工業科課題研究における作品製作及び研究・実験の内容を含む題材としてCAEを取り入れたものづくりを提案し,実際に工業高校の課題研究の時間を用いて,「CAEによるオーディオスピーカボックスの設計・製作・評価」を実践し,本題材の有効性及び問題点を明らかにすることを目的とする.また,設計に取り入れるCAEとして音響特性解析ソフトウェアを開発し,スピーカボックスの試作及び測定実験により音響特性解析ソフトウェアの有効性を検証する.

1年間の課題研究終了後,アンケート調査を行った.
その結果から,生徒たちは本題材に意欲的に取り組み,ものづくりが設計,製作,評価といった流れで行われていることが,ある程度理解できていることが分かった.
しかし,生徒が難しさを感じた部分もあり,CAEの使い方や,けがき,材料取り,かんながけ等,丁寧にやらなければならない作業に対して難しいと感じていることが分かった.
また,音響特性測定実験により,ほとんどの生徒がそれぞれ製作したスピーカボックスの特性について理解を示したことから,CAEによる設計と自分の力で製作した結果がフィードバックされたと考えられる.さらに,自分で製作したスピーカから音が鳴り,完成した達成感と良いものができたという満足感がアンケートの自由記述に述べられていた.



繊維技術と現代のものぐくり

繊維と聞いて想像するものは衣料品が多いかもしれませんが、繊維は産業資材としても幅広い分野で活用されています。
そこで中学校の技術科において、繊維技術を題材とした伝統産業と現代のものづくり産業について学習する教材を開発し、実践しています。

中学校の技術科では、生物育成分野の学習が必修化されました。
そこで、「材料と加工に関する技術」と「生物育成に関する技術」領域の学習として,組紐製作を題材とした授業を展開しています。
具体的には、組紐を生産するための組台の製作から始め、そして組糸となる素材を得るために蚕を育成し糸をとり、組紐を製作するという活動です。
また単に組紐製作という課題だけでなく、繊維技術が現代産業においても重要な役割を果たしていることなどを学習できるような内容を構築し、実践しています。

▼教材研究の一環で蚕を育てています。詳しくはコチラ